ハトコのたわ言

趣味に生きる隠居のたわ言集です

東京藝術大学大学美術館で『大吉原展』を観る

福田美蘭《大吉原展》 2024 年 作家蔵

私のほぼ同年代のアーティスト!福田美蘭さんの『大吉原展』ポスター?的な作品。『大吉原展』のロゴがおもしろかったのでそれを大胆に使用したそうな。https://daiyoshiwara2024.jp/highlight.html から引用。

 

 『吉原』というものを美化しすぎであるという非難が出て(悪い意味で)話題になっている『大吉原展』を東京は上野、東京藝術大学大学美術館に観に行った。

 先週金曜、4月19日。天気は曇りがちでそこまで気温は上がってなかったけど、展覧会はかなり混んでいた。そして若い人からお年を召した人まで、女性の観客が非常に多かった(8割方?)のが印象的。

 「江戸アメイヂング」という当初の副題は既に現時点で削除されているようだ。確かに無神経な言葉なのは間違いない。「たんなる売春街ではなかった」というのを強調したかった、流行や文化の発信基地だったとか、江戸文化の華だったとか、そういう趣旨なのは分かるんだけど。

 

 で、展覧会自体は、実に興味深い大英博物館から里帰りした作品もそこそこあったし、勉強になる・・・そう、私は、日本の江戸期以前の美術作品についての基本的な知識を欠いているので、良く分からないんだよね。

 浮世絵で描かれる女性に美しさも良くワカラン。

 妙に縦長の輪郭、まつげもない細い一重の目、申し訳程度のおちょぼ口

 さらに渓斎英泉の美人画なんて、ヘンに黒目がズレてるような・・・どこ向いてる?

 様式美なんだろうし記号化しているものなので、たとえば今の漫画における女性キャラ(男性キャラもそうだが)が現実の人間と違う風に違かれているのと似た現象というのは分かるんだけど・・・

高橋由一《花魁》[重要文化財 ] 明治5年(1872) 東京藝術大学

高橋由一 『花魁』[重要文化財] (1872)東京藝術大学

 幕末から活動している、日本の洋画の先駆け高橋由一作の上の『花魁』 も展示されていて、描かれた本人はWikipediaによれば『「わちきはこんな顔ではありんせん」と、泣いて怒ったという逸話が伝えられている』そうな。西洋的なリアルだとこんな感じだった?でもこれはこれで極端なような・・・

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 混んでいることが気にならないくらい、『観たことないモノを観てる』楽しみがあったが、浮世絵や錦絵に関する勉強に未だ手が着いていない状況だったので、消化できない部分も大きかった、というのが正直な感想。

 なんで展覧会の図録を買ったんだけど、この展覧会の図録は特にでかくて重い。前項目でも書いたけど図録はデジタルで買えるオプションがあって欲しい

 会期は5月19日まで。いろいろ考えさせられるし、日本文化の勉強にもなるのでお勧めです。

板橋区立美術館で「『シュルレアリスム宣言』100年~シュルレアリスムと日本」展を観る

美術展のキービジュアルの一つ「超現実派の散歩」東郷青児1929)/SOMPO美術館で早くまた東郷青児の収蔵品展やってくれないかな~

 

 一昨日の4月11日(木)、板橋区立美術館「『シュルレアリスム宣言』100年~シュルレアリスムと日本」展を観に行った。

 

 私個人的な話になるんだけど、板橋区には30年前くらいに6年間住んでいた。なんだけど、板橋区立美術館に行ったことはなかったな~存在すら知らなかった。まあ私が住んでいたところは都営三田線板橋本町駅付近で、直線距離で6km以上離れてる板橋区広い!)。地形的には荒川沿いの平地(高島平)から武蔵野台地へ急激に高くなる端っこの舌状台地に建っていた赤塚城址の一部が公園になっていて、美術館はその一角にある。

 ともかく交通の便も悪い。美術館の案内には『都営三田線西高島平駅」下車 徒歩約14分 東武東上線下赤塚駅」、東京メトロ地下鉄赤塚駅」下車徒歩約24分』とある。まあ近くにバス停はあるんだけどね。知らなくて当然か・・・

 で、3月19日付けの朝日新聞夕刊でこの「『シュルレアリスム宣言』100年~シュルレアリスムと日本」展の記事が出ていて、シュルレアリスムの絵画好きだというのもあって初めて行ってみることにした。

 ちなみに東京都の区立美術館、板橋区立美術館の他に、世田谷美術館豊島区立熊谷守一美術館すみだ北斎美術館は行ったことがあったし練馬区立美術館は存在知っていてそのうち行きたいと思ってたりするんだけど、他にも渋谷区立松濤美術館台東区立朝倉彫塑館O美術館(品川区立)、目黒区立美術館大田区立龍子記念館、と10の区立美術館があることを今調べて知った。この美術館がある区とない区の違いって何なんだろう?

 

 ともかく。

 板橋区立美術館は私の住んでいる西東京市田無から交通の便がメチャクチャ悪い。だけど自転車で行けば片道15kmほど。なので天気が良くて時間がある日に行こうなどと思っていて気づけば4月14日(日)で会期が終わるじゃん!(展覧会自体は4/27から三重県立美術館へ巡回)。

 板橋区立美術館の外観はこんな感じ。地上2階建て。右側の崖上に赤塚城址がある。

 それほど大きい美術館ではないことは知っていたので、「どうせ空いてるんだろう」と舐めて、一昨日、木曜の14時くらいに行った。

 しかし。青天ではないにもかかわらず、そこそこ混んでいた!(関係者の方には悪いけど)美術館にしては辺鄙なところにあるのにちょっと驚く。体感的には展示スペースはテニスコート6面くらいなのに、観客は300人くらい、年齢層的にはほぼ私と同年代とそれ以下な感じ。シュルレアリスムって(絵としては)分かりやすいし?人気あるんだなと改めて認識。私的には混んでるのがともかくイヤだったんだけど・・・

 で、混んでいたんだけど、美術展自体は良かった! 日本にもシュルレアリスムに影響を受けた人たちが居て、こういう作品を残していったのかが俯瞰的に分かる

 そう、まだ書いていないんだけど2月末~3月頭に宇都宮にちょっとした旅行に行った時に栃木県立美術館で観た「春陽会誕生100年 それぞれの闘い 岸田劉生中川一政から岡鹿之助へ」っていう美術展が、断片的にしか知らなかった日本人の作家や作品をネットワーク的に繋げてくれて、絵の見方の幅を広げてくれたんだけど(それはそのうちこのBlogにも書くつもりだけど)、この展覧会もそういう感じ。

 まあ難を言えば美術館のサイズに比べて点数が多くて、そして観客も多くて、じっくり観られなかったことと、(資料展示以外)ほとんど1作家1点だったので、もう少し個々の作家作品にボリュームも欲しかったということかな。

 

 もとい。

 この展覧会を機に日本のシュルレアリスム作家、作品について知って行きたいと思ったな。だけど写真は撮れなかったので(ほとんど他の日本の美術館から借りてきているからなのか?ミュージアムショップもないので絵はがきすら売ってないくせに!)、しかたがないので図録を買うことに。図録はたいていデカいし厚いし重くて保管場所に困るのでなるべく買いたくないんだけど、たまたま買った「春陽会誕生100年~」展の図録が自分の知見をネットワーク的に広げるのに役立ったこともあり、買ってみました。

 なんだけどホント、重たいから持ち帰りにくいし、家に帰っても場所をとるし整理にも困る(サイズが独特だったりもする!)ので正直、図録はデジタルで買えるオプションがあって欲しい!(美術館協会?とAmazonとか大日本印刷なりが協力してそういう仕組みを作って欲しい)。

 

 ちなみに帰りは『赤塚城址』に登って(高低差20m弱)、近くにある『東京大仏』も見て、帰路では石神井公園に寄って桜も観られて、まあ盛りだくさんな1日だったね。

映画『ゴーストバスターズ フローズン・サマー』を観て

 昨日、04月02日(火)、立川は「シネマシティ」に『ゴーストバスターズ フローズン・サマー』を観に行った、その感想など。

以下ネタバレあります。

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 結論から言えば、前作の『ゴーストバスターズ/アフターライフ』を楽しんだ身としては、『ちょっと残念』というのが正直な感想。

(前作の感想の詳細はこちら)映画『ゴーストバスターズ/アフターライフ』を観て~まさか「ゴーストバスターズ」というタイトルがついている映画で泣かされる日が来るとはこれと繰り返しになるけど、

 前作は昔の『ゴーストバスターズ』2作をちゃんとリスペクトしつつ、①ハチャメチャなコメディ要素、②こまっしゃくれた子供がムチャクチャやる「ホームアローン」的要素、③祖父/母/娘の3代にわたる親子関係を描くハートウォーミングな部分、④昔のキャストが醸し出す「同窓会」的ノリ、の4側面がバランス良く配合されていて、面白かった。

 さらに今思えば、⑤旧作の舞台がニューヨークという都会から、ド田舎を舞台に移したのも新鮮で良かった。その田舎の風景も良かったし、ド田舎に越してきた一家のトマドう姿も面白かったし。

 

 で、今作。

①ハチャメチャなコメディ要素はスベリ気味

②子供がムチャクチャやる要素はなくなってしまった。ここが最も残念なところ。

 基本的には、この物語は前作から引き続いて孫娘(フィービー・スペングラー)の物語だと思うんだけど、この作品の中では15歳の設定で大人になりかけの子供。前作ノリでニューヨークの街を破壊しまくったら普通に大人に怒られて、働ける年齢じゃないからってゴーストバスターズから外されて落ち込んだり・・・かといって彼女の成長物語がちゃんと描けているわけでもない。

 そう、主役の彼女の物語がオモシロクない!致命的な欠点である。

③の家族推しはちょっとクドくなってウザイ

 昨今のハリウッド娯楽映画の、家族バンザイみたいな価値観を入れておけばOKみたいな風潮って本当にウンザリなのにまたかよ、って感じ。基本、コメディ映画を観に来てるんだからそんなのどうでもイイよ、って言いたくなる(もっともコメディ映画だと思い込んでいる私が悪いのかもしれないけど)

④昔のキャストが醸し出す「同窓会」的ノリはさすがに2回目となると・・・

 マンネリとまでは言わないけど、そこまで心が動かされないよね。たまに会うから同窓会は盛り上がるんだから。

⑤昔のようにニューヨークが舞台、になったのにも疑問符。

 そのため、前作との話の整合性を付けるために余計な説明を必要としてしまっている。特に孫息子の女友達と孫娘の男友達(もちろんド田舎の人)って物語の必然性から言えば不要な人物。なのにニューヨークが舞台になっても彼らを出すことによって、田舎から再び(?)ニューヨークに越してきた一家は再びトマドったりしているはずなのに、そういうのも描けなくなってしまった。

 など、前作で良かったところが帳消しになっている。なんてこった。

 

 さらに欠点をあげつらえば、登場人物多すぎて物語が混み合いすぎ

 祖父世代(初代ゴーストバスターズの面々)、親世代、孫世代と3つの話があって焦点がずれる。さらに新しい登場人物が出てきたり。

 オールスターキャストといえばいいけど、無駄に登場人物が多すぎる。

 ここも前作は良く出来ていた。初代関係者は次々登場してくるスタイルだったので話があちこちに行かなかった。

 それに比べ今作は・・・観ていて疲れる。登場人物絞れよ、というシロウトにするみたいなツッコミを入れたくなる。

 最後にいろんな人が次々に現れて、皆で協力して敵を倒す部分は、(展開の予想はつくけど)演出のテンポも良くて、映像のインパクトもあってそれなりに楽しめたけど、そこまで話に付き合うのが本当にダルい。

 

 ともかく、前作が好感持てる作品だったので今作はちょっと残念。

 私的には前作が(5段階評価で)4点台の評価だったとしたらこれは3点台(それも3.5以下)って感じ。

 

 まあ3作目(今回のシリーズ最後作があるらしい)に期待したい。この映画の『雑な感じ』『辻褄合わない感じ』はそのための前フリだと思いたいんだけど、これがコケて制作されなくなるかも、と少々不安になるデキ。本当に3作目も制作されて欲しいから。

 

 最後に。すごく気になったのが邦題『ゴーストバスターズ フローズン・サマー』。

 原題は『Ghostbusters: Frozen Empire』。えっ?なんで『氷の帝国』とかじゃないの?『フローズン・サマー』ってネタバレしてるんだけど。

アーティゾン美術館で『マリー・ローランサン ―時代をうつす眼』展(など)を観る

帽子をかぶった自画像(1927年頃)。アタリマエ?だが一部NG作品以外、写真撮影OK

 先週の2月15日(木)、京橋はアーティゾン美術館へ『マリー・ローランサン ―時代をうつす眼』展を観に行った。ちなみに3フロアある展示スペース中、マリーの展覧会は6Fの1フロアだけ

 残りの2フロアは『石橋財団コレクション選』が開かれ、そのコレクション選の一角に『特集コーナー展示「野見山暁治』が展示されていた(これについては後述)

 

 美術館巡りを再開させてからアーティゾン美術館に行ったのは、昨年2023年2月3日(金)が初で、その時の『パリ・オペラ座−響き合う芸術の殿堂』展のお客さんが仕事帰りの女性がすごく多かった印象が強く残っていた。アーティゾン美術館『パリ・オペラ座−響き合う芸術の殿堂』展を観に行く - ハトコのたわ言 参照

 この展覧会もそういう客層なのではないかと思ったので、金曜の夜を避けて平日の昼間14時~15時半入館の回に行ったのだが、目論見通り、イヤになるほど混んではいなかった。平日の美術館を混ませる元凶である我々ご隠居世代にはそこまで刺さらないだろう、と思っていたけどそれも正解で、若い女性比率が高かった。それもベレー帽被っているような・・・美術館に来る若い女性はベレー帽比率が有意義に高いのは不思議(というか普通に街を歩いていてもまずお目にかからないのに)

 さらに言えば昨年(2023)も『マリー・ローランサンとモード』展が東京・京都・名古屋と巡回してた(私は未見)から、マリーの絵への満腹感もあったのかもしれない。

 まあ、私としてはともかく観やすかったのでラッキー。

 

 展覧会の構成が良くて、マリーの作品を年譜的に並べるだけではなく、マリーの他との関わり別に展示されている。たとえばマリーは人脈的にはキュビスムのど真ん中にいた人なんだけど、割に若い時期にいわゆるマリーっぽい画風を確立した後は、キュビスム的な構図の作品はあれど、マリーっぽさは変わらない。挿絵を描こうと、舞台芸術に関わろうと、不思議と変わらない。そこが面白い。

(具体的な内容については展覧会HP マリー・ローランサン ―時代をうつす眼 | アーティゾン美術館 を参照下さい)

 ちなみにマリーっぽさって、

①輪郭線のない、平面的で単純化されたフォルム

②色彩は淡いパステル調

③輪郭線を省略するから正面を向いている人の鼻はほとんど描かないし、それなので眼と眼の間が妙に離れ気味に見える

④ほとんど女性しか描いていない(なので今回の展覧会で取り上げられてた静物画は意外だった)

 てな所かな。

 個性が確立している、とも言えるけど、ワンパターンって言えばワンパターン

 なのでそればっかりだと飽きる、と言えば飽きちゃう

 だからなのか、展示は1フロアだけだったし、同時代の他の作家の作品もまぶしいた(マリーの作品約40点、挿絵本等の資料約25点に加えて、同時代に活躍した画家たちの作品約25点、合計約90点 だそうな)

 というかマリーの良い作品ってかなり日本にある。『マリー・ローランサン美術館』って実は日本の美術館(世界で唯一のローランサン専門の美術館だったそうな。現時点では作品を持っているだけの、建物がない美術館になってはいるが)だし、アーティゾン美術館もそこそこ持っている。それらを一堂に会した展覧会も過去には行っているので、今回は別な切り口で、1フロアだけ、という感じなのかもしれない。

 まあ私の勝手な想像だけどね。

 会期は2週間後の3月3日(日)まで。時間に余裕のある方にはお勧めできます。

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 残りの2フロアで開かれていた『石橋財団コレクション選』。

 まあ何回観に来ても凄い絵をたくさん持っているのには改めて驚かされた。

 青木繁の代表作かつ重要文化財の2作品『海の幸』『わだつみのいろこの宮』。2枚とも持ってる!

 新収蔵作品として展示してあったクレーの『双子』(これが今回のコレクション選のメインビジュアル)、『小さな港』。クレーを新しく2枚も手に入れたの? スゴクね?

 今回のコレクション選で展示されなかった作品も多数あるの知ってるし。

 たいしたものである

 

 ちなみに『特集コーナー展示「野見山暁治』。

 この方の作品は熱い方の抽象画なんだけど、昨年アーティゾン美術館で開催され、私も観に行った、3フロアぶち抜きの大抽象画展『ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開』展 アーティゾン美術館 『ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開』展を観る - ハトコのたわ言 参照 では展示されていなかった!(作品リストをチェックしたけどなかった!)

 かなり重要な作家そうで、テーマにドハマリで、なおかつ7点も収蔵しているのに展示してなかったとは・・・日本人作家の作品は新収蔵作品を中心に展示されていた気がするけど、どんだけ持ってるの?と言いたくなる。

 奇しくも野見山暁治氏は蒸気の展覧会開催中の昨年2023年6月22日に亡くなっていたようだが。

平塚市美術館で『新収蔵品展 特集展示:藤田嗣治の初期作品』を観る/展覧会で写真が撮れなかったことについて

平塚市美術館の外観。何せ出展作品は撮影できないので出せるビジュアルはこれくらい

 先日、2月9日(金)神奈川県平塚市にある、平塚市美術館へ『新収蔵品展 特集展示:藤田嗣治の初期作品』を観に行った。

 ぶっちゃけ西東京市に住む私の家からそこそこ遠い。直線距離なら46km。オートバイで高速使わず下道で行くと約60km、2時間以上かかる。電車なら1時間半以上・運賃は片道1,600円はかかる。

 で、なぜ遠路はるばる訪問したかと言えば、もののついででだったから。

 主目的は平塚の先(西側)、二宮町の『吾妻山公園』に菜の花越しの富士山を見物にオートバイで行く予定がそもそもあったから。

 で、ちょうど2月6日(火)の朝日新聞夕刊に平塚市美術館での美術展(藤田嗣治の初期作品についての記事)が出ていたので、ついでに絵も観てゆこうとなった。

 ちなみに菜の花越しの富士山はこんな感じ。

 そう、残念ながら私が訪れた2月9日13時頃は富士山がちょうど雲に隠れて見えなかったのでした。二宮町までの道中では見えたんだけど・・・待っていたら見えるかもしれないとちょっとネバったんだけど・・・結局見れなかった(雲が無ければ写真のやや右側、奥の山のさらに向こう、手前の山の上に見えたはずだったのに・・・)。天気自体は良くて、湘南の方にオートバイに乗って行くこと自体は楽しめたんだけどね。

 

 ということでついでの方の平塚市美術館。二宮からオートバイで30分もかからないので14時半くらいについた。

 入館料はわずか200円。安い! なんだけど・・・

 来館者はほとんどいない。藤田嗣治の小企画前にちょっといたくらいで、二桁いるかいないか程度。

 藤田の小企画に関しては良かった。渡仏前、美学校時代の作品で、新たに平塚市美術館に寄託され、藤田の作品と同定された『おことさん』という作品がメインで、その時代の藤田の他の作品や、同時代の他の作家の絵も展示されていたんだけど・・・ともかく作品数が少ない。藤田のちゃんとした作品は上記『おことさん』を加えても4枚だけ(他の3枚は東京藝大から借りて展示。ちなみにこの展覧会で平塚市美術館以外の収蔵作品はその3枚だけ)。同時代の他の作家の絵もこれといった作品が見当たらず、本当に小企画。まあ200円だからしょうがないか・・・でももう少しボリュームが欲しかった。

 

 で、メインの『新収蔵品展』。

 新収蔵品展、とあるが、作品の傾向はバラバラ(具象あり抽象ありシュールっぽいのもポップなものもあり)で散漫な印象。ポリシーがあって集めている、という感じは受けない。地元(大磯町も含め湘南地域全体)にユカリがあるものだけでもないようだし。この平塚市美術館はどういった方針でコレクションしてるんだろうと非常に疑問。

 で、後になって作品リストを見て気づいたんだけど。

 新収蔵の全41作品、すべて寄贈か寄託されたものでした。

 ポリシーがあって集めているのではなく、今は頂いたモノを収蔵しているだけのようだ(もちろん取捨選択はしているんだろうけど)。つまりはお金を掛けてコレクションはしていないということ。

 なんで人口26万人弱の平塚市が美術館を持っているのか、正直、謎だったが、コレクションにお金はかけていないということか。これって箱物行政・・・?

 そして収蔵作品の展覧会なのに写真撮影が出来ない

 自治体がやっている美術館で、これは今時珍しい(悪い意味で)。今は個人美術館以外のほとんどの展覧会では写真撮影は可能になっていることが多い(個人美術館でも撮影可能な所もある)。日本の他の美術館から借りてきた作品が部分的に撮影禁止になってたりするくらいである。それなのに・・・

 むちゃくちゃ残念。忘れちゃうんだよね、撮影できないと。

 

 ということであさっての日曜日(2月18日)まで開催だけど、お近くの方以外は、無理して観に行く必要はないと言える展覧会でした。

森アーツセンターギャラリーで『キース・ヘリング展』を観る

今回のキービジュアルの一つ『Icons』(1990)。出品リストには『イコンズ』とあるけど、英語なんだから『アイコンズ』じゃね?

 

 先日、2月6日(火)、六本木ヒルズ森タワー53階の森アーツセンターギャラリーへ『キース・ヘリング展 アートをストリートへ』を観に行った。

 さて、東京の美術展で、人気のある作家の個人展覧会は非常に混むので、なるべく天気の悪い日に行った方が良い、というのは以前書いたが、このキース・ヘリング展、まさに混む条件がそろっている。

 なので、その空くチャンスを狙ってたが、東京での展覧会は2月25日まで

 私は10日間天気予報をずっとチェックしている人間なんだけど(自転車で遠乗りしたり、オートバイに乗るのも趣味なんだけど、そういうのは晴れている日に行きたいので常にチェックしている)、2月1日(木)の時点で、急に火曜日も天気が悪くなる予報が出た。

 (9日前からずっと天気が悪い予報だった)月曜は別件が入っていたが、火曜は幸いにも空いている。

 なので急遽、チケットをネットで購入。日時指定なので2月6日の14時台入館回で予約した(結果的には当日券でも楽々入れたようだけど)

 ついでに森タワーで1F上の54階にある森美術館で開催されている『私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために』という展覧会が割り引かれ1,000円(ほぼ半額)で観られるので、こちらも15時台入館回で予約(こちらについては別述予定)

 なんだけど、予約してからの4日間で、天気予報はまあコロコロ変わった。

 東京の雪の予報は、上空の空気が1℃違うだけで雪/みぞれ/雨の間で変わるので非常に難しいと聴いたことがあるけど、火曜も雪が降って、交通機関が全面的に止まる可能性もなきにしもあらず。ちょっとした賭けになってしまった。

 で、2月6日。

 前日で雪は止み、午前中から雨交じりの天気。13時前に家を出た時はまだ雨が降っていたが、14時過ぎに六本木に着いた頃にはほぼ雨も上がっていた。

 ということで賭に勝ち、ガラガラの本展が観られることになったのでした

 素晴らしい!(ここまで展覧会の内容とまったく関係が無い話だけど)

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 さて、ガラガラではあったけど、まあ客層は若い。私と同年代以上の人もいたけど、クダけた感じの人がほとんどで、たとえば印象派の美術展とかではあまり見ない客層だった。六本木という街だからか、異国人も多かったし。

 で、実際の展覧会について。

 観ていて楽しかった!というのが素直な感想。

 絵をじっくり鑑賞する、とか、すごく感動したりするというよりは、パッと見て楽しくなる感じ。観たことあるものが次々出てくるので実に楽しい感じ。

 正直、どれもこれもそんなに違わない、っちゃー違わないけど、そういう既視感、みたいなのが楽しくなる。

 観た後も楽しさが続いて、妙にテンションが上がって、さらに言えばグッズ展開が組み込まれ済みのポップアートなので、めずらしくグッズをたくさん買ってしまった

 トートバッグ(¥4,620)とか調子に乗って買ったのは良いけど(カッコ良い!)、普段使いのトートバッグにしては高いし、めちゃ派手なのでどういう感じで使うのか、家に帰ってから我に返り、少し困惑してる。

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<追記>20240218

 購入したトートバッグ、使ってみた!ポップアートなだけあって、スーパーのサッカー台に置いても違和感ない。縫製も良いのでたくさんモノも入るが、ちょっと酢酸っぽい匂いがまだキツいのが難点(そのうち薄れるんだろうけど)。

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 もとい。

 前述のように東京は2月25日までですが(あと2週間強)、かなりお勧めです。ただし館員の人に聴いたら普通の日はかなり混んでいるそうなのですが。

 ちなみにこの後、神戸・福岡・名古屋・静岡・水戸と巡回するようです。詳しくは、

OUTLINE 開催概要|キース・ヘリング展 アートをストリートへ KEITH HARING Art to the Streets 参照。

岡本太郎記念館に行ってみた(2)『明日の神話と太陽の塔』展を観る

前項からの続き。

面している道路側から見た岡本太郎記念館。右手になぜかジャングル的な庭木が茂っていて、その庭にも太郎の作品が展示されていて、入館者は観ることができる。

 ということで初の岡本太郎記念館

 結論から言えば想像以上に小さかった

 個人宅としては大きいとは思う(それも青山の一等地!)。Googleマップで測ってみると敷地的は幅24m✕奥行23m≒約550㎡ 約166坪くらいだと思う。なんだけど美術館としてはちょっと小さすぎかな。

 似たような施設?で『豊島区立 熊谷守一美術館』に行ったことがあるんだけど、敷地で言えばこっちの方が広い。しかし熊谷守一美術館は家をそのまま美術館に使ったわけではなく、ちゃんと美術館として3F建てで建て替えていた。なので敷地に比べて展示スペースが広い(ように思えた)。

 なんだけど岡本太郎記念館は、

①太郎の住居兼アトリエの家をそのまま美術館に流用した。

②展示スペース以外に多数の収蔵作品を収納するスペースを必要としている(?)。

 ため、2Fの企画展展示スペースは10畳前後ほどの部屋が2部屋とそれをつなぐ吹き抜けの通路があるだけ。ん~微妙

 ちなみに1Fの常設展示スペース?には、応接室的な部屋(写真参照。太郎の実物大像も展示!)と、アトリエ部分が展示スペースになっていて、それはそれで興味深かったし楽しめるんだけど。

 

 アトリエをそのまま残している所など、美術館的な目的は川崎市岡本太郎美術館にまかせていて、まさに記念館であり岡本太郎聖地巡礼(記念館が作られた当時、そういう概念はなかっただろうけど)だった。

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 さて本題。企画展『明日の神話太陽の塔』について。

 前述のように企画展の展示スペースは小さい。さらに2部屋の一室には『明日の神話』と同じホテルが注文して結局は制作されなかった『豊穣の神話』の3種類の下絵が展示されていたので(これは見応えあったが)、実質の展示はほぼ1部屋だけ。前項で触れた『展覧会 岡本太郎』の方が多面的に展示されていたと思う。

 さらに言えば、『明日の神話』の大きな下絵は、川崎市岡本太郎美術館収蔵で、前項で触れた『展覧会 岡本太郎』や、川崎市岡本太郎美術館で2023年に開かれた『凱旋!岡本太郎』(別述予定)でも展示されていて、そちらの方がインパクトあった。

 ということでちょっと肩すかしの内容、というのが正直な感想。