ハトコのたわ言

趣味に生きる隠居のたわ言集です

048 マルトゥッチ 管弦楽作品全集 第1集

無名名曲アルバム-マルトゥッチ第1集

さて昨日書いたように、NAXOSから出ているマルトゥッチの管弦楽作品全集(4枚)を順に取り上げてゆきましょう。
マルトゥッチ(MARTUCCI,Giuseppe1856-1909)はイタリアの作曲家(ピアニストでもあり指揮者でもあったらしい:Wikiによれば、オペラ全盛期のイタリアの作曲家としては、器楽曲復興の大立役者とのことだけど、現在の聴き手である私には全く関係ない)。それで、マーラーより4つ年上。

まさに世紀末の作曲家なんだけど、こんなに爽やかな世紀末があったのか!って感じ。ちょっと精神的な深みに欠けるきらいはあるけど、実に美しく、後味爽やか。管弦楽法ワーグナー以前の匂いが残っていて、ストレートに好きになれない面もあるんだけどね。
第1集(NAXOS8.570929)に収録の、交響曲第1番はちょっとブラームス風で、というかかなりブラームス風で、勇壮な第1楽章と第4楽章は中々聴かせてくれる。特に第4楽章のクライマックスの盛り上がりは血湧き肉躍る感じ。残念ながら緩徐楽章の第2楽章は中途半端だし、舞曲風の第3楽章もイマイチなので、曲全体としては大推薦というわけではないけど、かなり良い線行っている。
併録されている4曲の内、4曲目の「チェロと管弦楽のためのアンダンテ」も内省的で中々良いが、特筆すべきは5曲目の「夜想曲(Notturno)」。マーラーの5番のアダジエットから耽美的なものを薄めて叙情的にした感じの、弦楽器主体の佳曲。9分強のこの曲を聴くためだけでもこのアルバムは買いだと思います。