ハトコのたわ言

趣味に生きる隠居のたわ言集です

051 カリンニコフ 交響曲第1番

無名名曲アルバム-カリンニコフ交響曲第1番

ブログ再開後、最初の「本題」こと「無名名曲」第1弾。
実際、約1年間の「抜け殻」中はほとんど音楽を聴いていなかったし、新しく出たCDもチェックしていないので、これまでの貯金から取り上げましょう。


さて「抜け殻中」にCDチェンジャーの中にずっと収まっていたのはカリンニコフ 交響曲第1番&2番 (NAXOS 8.553417)

カリンニコフ(Kalinnikov,Vasily Sergeyevich 1866-1901)は、34歳で夭折(結核だそうな)したロシアの作曲家。交響曲はこのアルバムに収録されている2曲だけ。

まずは交響曲第1番。循環形式であるけど本家フランスの作品のように妙に神々しかったりはせず、実に自然に作曲技法として活用している感じ。ちなみに1895年完成で、ほぼ同年代の有名作曲家で比較すると、
 ■マーラー (1860-1911)の交響曲第2番「復活」が1896年。
 ■シベリウス(1865-1957)の第1番が1899年。
それらに比べたらオーケストラの響きは独自性が薄いし、大胆さに欠けている(ちょっと昔-19世紀前半チックな管弦楽法)けど、曲自体はメロディーが魅力的だし、循環形式や対位法を駆使して深みもある。
いかにも「ロシア」っぽい、郷愁を誘うような循環主題で始まる第1楽章はしみじみ気持ち良く(ロシアっぽいけど、チャイコフスキーよりはアッサりめ)、対位法的展開もキマッてて、中々によい。
緩徐楽章の第2楽章とスケルツォの第3楽章はあまり魅力的ではない(まあ、スケルツォの楽章はどんな作曲家の作品でも私の好みのものはほとんどないんだけど)。
で、クライマックスの第4楽章。ロンド形式らしい(このへんはWikiの受け売り)。いきなり郷愁を誘うような循環主題が本当に郷愁を誘い、で目まぐるしく変奏され、第2楽章の主題も出てきたり、壮大に、でも楽しげに盛り上がって曲が終わる。うん、いい曲聴いたって気にさせてくれる。これは名曲!

 

で、同版収録の交響曲第2番なんだけど、第1番ほどメロディーが魅力的ではないし、クライマックスも1番ほど盛り上がらないので、名曲と言うより「佳曲」ですね。
ただし緩徐楽章の第2楽章は1番より良い。逆にロシアっぽいクセがなく、しっとりと循環旋律が歌われて、中々に美しい(すごく美しくはない)。第3楽章はまあ置いておくとして、第4楽章は静かな序に始まり、中々に盛り上がる楽章ではあるんだけど、すごくは良くない。メロディが卓越してない。ちょっと残念。