ハトコのたわ言

趣味に生きる隠居のたわ言集です

アーティゾン美術館で『マリー・ローランサン ―時代をうつす眼』展(など)を観る

帽子をかぶった自画像(1927年頃)。アタリマエ?だが一部NG作品以外、写真撮影OK

 先週の2月15日(木)、京橋はアーティゾン美術館へ『マリー・ローランサン ―時代をうつす眼』展を観に行った。ちなみに3フロアある展示スペース中、マリーの展覧会は6Fの1フロアだけ

 残りの2フロアは『石橋財団コレクション選』が開かれ、そのコレクション選の一角に『特集コーナー展示「野見山暁治』が展示されていた(これについては後述)

 

 美術館巡りを再開させてからアーティゾン美術館に行ったのは、昨年2023年2月3日(金)が初で、その時の『パリ・オペラ座−響き合う芸術の殿堂』展のお客さんが仕事帰りの女性がすごく多かった印象が強く残っていた。アーティゾン美術館『パリ・オペラ座−響き合う芸術の殿堂』展を観に行く - ハトコのたわ言 参照

 この展覧会もそういう客層なのではないかと思ったので、金曜の夜を避けて平日の昼間14時~15時半入館の回に行ったのだが、目論見通り、イヤになるほど混んではいなかった。平日の美術館を混ませる元凶である我々ご隠居世代にはそこまで刺さらないだろう、と思っていたけどそれも正解で、若い女性比率が高かった。それもベレー帽被っているような・・・美術館に来る若い女性はベレー帽比率が有意義に高いのは不思議(というか普通に街を歩いていてもまずお目にかからないのに)

 さらに言えば昨年(2023)も『マリー・ローランサンとモード』展が東京・京都・名古屋と巡回してた(私は未見)から、マリーの絵への満腹感もあったのかもしれない。

 まあ、私としてはともかく観やすかったのでラッキー。

 

 展覧会の構成が良くて、マリーの作品を年譜的に並べるだけではなく、マリーの他との関わり別に展示されている。たとえばマリーは人脈的にはキュビスムのど真ん中にいた人なんだけど、割に若い時期にいわゆるマリーっぽい画風を確立した後は、キュビスム的な構図の作品はあれど、マリーっぽさは変わらない。挿絵を描こうと、舞台芸術に関わろうと、不思議と変わらない。そこが面白い。

(具体的な内容については展覧会HP マリー・ローランサン ―時代をうつす眼 | アーティゾン美術館 を参照下さい)

 ちなみにマリーっぽさって、

①輪郭線のない、平面的で単純化されたフォルム

②色彩は淡いパステル調

③輪郭線を省略するから正面を向いている人の鼻はほとんど描かないし、それなので眼と眼の間が妙に離れ気味に見える

④ほとんど女性しか描いていない(なので今回の展覧会で取り上げられてた静物画は意外だった)

 てな所かな。

 個性が確立している、とも言えるけど、ワンパターンって言えばワンパターン

 なのでそればっかりだと飽きる、と言えば飽きちゃう

 だからなのか、展示は1フロアだけだったし、同時代の他の作家の作品もまぶしいた(マリーの作品約40点、挿絵本等の資料約25点に加えて、同時代に活躍した画家たちの作品約25点、合計約90点 だそうな)

 というかマリーの良い作品ってかなり日本にある。『マリー・ローランサン美術館』って実は日本の美術館(世界で唯一のローランサン専門の美術館だったそうな。現時点では作品を持っているだけの、建物がない美術館になってはいるが)だし、アーティゾン美術館もそこそこ持っている。それらを一堂に会した展覧会も過去には行っているので、今回は別な切り口で、1フロアだけ、という感じなのかもしれない。

 まあ私の勝手な想像だけどね。

 会期は2週間後の3月3日(日)まで。時間に余裕のある方にはお勧めできます。

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 残りの2フロアで開かれていた『石橋財団コレクション選』。

 まあ何回観に来ても凄い絵をたくさん持っているのには改めて驚かされた。

 青木繁の代表作かつ重要文化財の2作品『海の幸』『わだつみのいろこの宮』。2枚とも持ってる!

 新収蔵作品として展示してあったクレーの『双子』(これが今回のコレクション選のメインビジュアル)、『小さな港』。クレーを新しく2枚も手に入れたの? スゴクね?

 今回のコレクション選で展示されなかった作品も多数あるの知ってるし。

 たいしたものである

 

 ちなみに『特集コーナー展示「野見山暁治』。

 この方の作品は熱い方の抽象画なんだけど、昨年アーティゾン美術館で開催され、私も観に行った、3フロアぶち抜きの大抽象画展『ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開』展 アーティゾン美術館 『ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開』展を観る - ハトコのたわ言 参照 では展示されていなかった!(作品リストをチェックしたけどなかった!)

 かなり重要な作家そうで、テーマにドハマリで、なおかつ7点も収蔵しているのに展示してなかったとは・・・日本人作家の作品は新収蔵作品を中心に展示されていた気がするけど、どんだけ持ってるの?と言いたくなる。

 奇しくも野見山暁治氏は蒸気の展覧会開催中の昨年2023年6月22日に亡くなっていたようだが。