ハトコのたわ言

趣味に生きる隠居のたわ言集です

アーティゾン美術館 『ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開』展を観る

ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開 セザンヌ、フォーヴィスム、キュビスムから現代へ

先週の金曜日、7月7日(金)アーティゾン美術館に

『ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開』展

を観に行く。まだ1ヶ月以上開催されているので私なりの感想を。

 

今回の展覧会は、アーティゾン美術館の展示3フロア全部を使った大がかりなもので、特に6F、5Fはアーティゾン美術館収蔵作品が中心。

展示会のHPから引用すると、

<本展では、石橋財団コレクションから新収蔵作品* 95点を含む約150点、国内外の美術館、個人コレクション等から約100点、あわせて約250点の作品を、アーティゾン美術館の全展示室を使ってご紹介いたします。*新収蔵作品・・・当館の前身であるブリヂストン美術館が休館した2015年以降に収蔵された作品を指す。

https://www.artizon.museum/exhibition/detail/557

正直、びっくり。そもそも印象派以降の絵をたくさん持っているイメージだったけど、この8年で、100作品くらい集めてる! お金ってあるところにはあるのね。

もとい。

今回の展覧会は新収蔵作品もたまってきたのでそのお披露目的な側面があるんでしょう。

ちなみに副題『セザンヌフォーヴィスムキュビスムから現代へ』なんだけど、セザンヌフォーヴィスムキュビスムの作品は26作品で、全体約250作品から見ればその割合は小さい。ちょっとガッカリ。まあ、本題は『抽象絵画の覚醒と展開』なんだから看板に偽りありとまでは言えないけどね。

 

展覧会は全部で12のSectionに分かれている。これから観る方のために、一応、展示されている作品数(展示資料除く)も書いておきます。

<6F>

Section 1 抽象芸術の源泉 セザンヌ、マネ、ゴッホゴーギャン、モネなど 6作品

Section 2 フォーヴィスムキュビスム マティスピカソ、ブラックなど 20作品

Section 3 抽象絵画の覚醒 44作品

このSection 3が私がギリ知っている=有名抽象画作家の作品で、中々に見応えがある。裏を返せばこっから先は(岡本太郎とか草間彌生とか以外)ほぼ知らない世界。

Section 4 日本における抽象絵画の萌芽と展開 10作品

Section 5 熱い抽象と叙情的抽象 21作品

<5F>

Section 6 トランス・アトランティック―ピエール・マティスとその周辺 7作品

Section 7 抽象表現主義 38作品

Section 8 戦後日本の抽象絵画の展開(1960 年代まで) 13作品

Section 9 具体美術協会 33作品(21点の小品の連作が入っているから点数多め)

<4F>

Section 10 瀧口修造実験工房 20作品

Section 11 巨匠のその後 ―アンス・アルトゥング、ピエール・スーラージュ、ザオ・ウーキー 9作品

Section 12 現代の作家たち ―リタ・アッカーマン、鍵岡リグレ アンヌ、婁正綱、津上みゆき、柴田敏雄、髙畠依子、横溝美由紀 44作品

 

こんなにまとめて抽象画を見る機会、今後はもうないだろう。

そういう意味では得がたい体験なんだけど、正直、最後の『Section 12 現代の作家たち』を観る頃にはお腹いっぱいな感じになってしまった。

5Fの途中あたりから大きな作品も増え、アクリル絵具とか派手な素材?とかで圧倒されてゆくし、どれも『センス』あるな~とは思うんだけど、ここまで立て続けに見せられると、『構図・色彩・質感』だけじゃ大きな違いが出しにくい、とか思ってしまった。

還暦を超えてる私には1枚1枚印象が残らなくなってくるんだよね・・・

 

もとい。その中でも、『Section 5 熱い抽象と叙情的抽象』って括りは面白かった!なるほど抽象でもパッションとかリリシズムみたいなものが出ているものと、そうじゃないものって確かにある。

あと、Section 9元永定正Section 11のザオ・ウーキーや、本当に初めて知る人の作品なんだけど、非常に印象に残る作品もあった。

 

ちなみに金曜は20:00まで開館していて、私は17:00くらいから観に行ったんだけど(予約は16:00~17:30入館。16:00ちょうどとかに行かない方が空いていることを最近学んだ)、有名作家の個人展ではないし、抽象画ばっかりだし、金曜の夕方遅くということでもあり、余裕で絵を観ることが出来、充実した時間を過ごせた。

どの展覧会もこのくらいの混みようだったらいいのに・・・