ハトコのたわ言

趣味に生きる隠居のたわ言集です

カメレオンマンを観て

カメレオンマン

さて初DVD化もあるウディ・アレンのDVD3本について順次更新して行きたいと思う。

まずは「カメレオンマン」(原題はZelig:主人公の名前から来ています)。ちなみに左の画像は日本公開当時-1984年のパンフレットをスキャンしてます。セピア調なのはそういう部分もあるということで。

私のなかのアレン映画ベスト5の5位候補でもあります。

 

映画自体は、「非常にシンプルに凝っている」ものです。1920年代に、ゼリグという人間カメレオン(回りの人に同調して、中国人にも黒人にも医者にもパイロットにもなってしまう)があたかも存在して、その人物のドキュメンタリー仕立てになっている。

「非常にシンプル」というのは、その軸がずれないこと。

「非常に凝っている」というのは、まず(1)当時の実際のフィルムを探し出して、それに合成でゼリグがいたかのように見せる(2)合成じゃない部分もあたかも1920年代の映画のような画質で見せる(3)映画作成時、1920年代を振り返るコメンテーターがカラーで出てくるが、それぞれ実在の人が架空の人間を語る役を演じたりしている(ソール・ベローとかスーザン・ソーンバーグとかがhimself,herself役で出ている)(もちろん架空のコメンテーターも出てくるんだけど)。

 

そう言う意味ではウディ・アレンの全作品の中でもっとも凝った作りをしている、実に映画らしい映画(映画じゃなければ表現できない)といえましょう。ちなみに全体のストーリーは荒唐無稽とはいえ心温まるもので、ミア・ファーローとの蜜月時代にとられた、見終えた後に幸せな気持ちになるような名画です。