ハトコのたわ言

趣味に生きる隠居のたわ言集です

038 パリー交響曲全集 その2

昨日のブログの続きです。結論から言えば4番、5番は優れているので、清水の舞台から飛び降りるつもりで買えば納得?できるというもの。で、今回は2番から4番(5番は既述)について書いていきましょう。
無名名曲アルバム-パリー交響曲全集

パリー交響曲第2番「ケンブリッジ

オーケストレーションに華がないというか色彩感が乏しいのは他の曲と同じ。もしかしたらもっと良いのかもしれないけど、録音はエコーが妙に長くて、楽器の音色の分離が悪くて、低音がモコモコして、他に演奏がないからこのCDを聴いただけでダメだと判断するのはかわいそうな気がする。でもこのCDはお勧めしません。
第1楽章:曲としては悪くないのかもしれないけど、(繰り返しになるけど)オーケストレーションと演奏と録音がもう一度聴きたい!という気にさせてくれないんだよな。聴きようによってはフランクの交響曲みたいな響きもして、良いのかもしれないけど、このCDから良さを聴きとるのは困難。
他の演奏を聴かない限り判断つかない。
第2楽章:スケルツオ楽章が第3楽章じゃなくて第2楽章に来ているのは当時のはやりだったのかな?ともかく私はスケルツオは嫌いだし、この楽章はどうでもいい。
第3楽章:基本的には緩叙楽章。オーケストラのバランスが悪くて聴くに堪えない。後半3'50"からの弦楽合奏で奏でられる部分からはなんとかこの楽曲の本質が聴けるかもしれない。対旋律が非常に美しい(けどオーディオ的にはひどいバランス)。
第4楽章:楽しげに喜びに満ち溢れた序奏から、木管で入る第2主題?、徐々に盛り上がる展開部?、非常にいい楽章のような気がするけど、(しつこいくらいに繰り返すけど)オーケストレーションと演奏と録音が悪くて、具体的な音楽なのに、あるべき姿を想像しながら聴かなきゃいけないなんてやっぱりおかしい。

パリー交響曲第3番「イングリッシュ」

なぜ「The English」という副題が付いているのか私のつたない英語力ではわからなかった。(「ケンブリッジ」もそうだけどさ)。
オーケストレーション・録音・演奏に問題があるのは、他と同じ。よってこのCDもお勧めしません。
第1楽章:力ずよい音像なんだけど、ともかくオーケストレーション・録音・演奏3拍子揃ってよろしくなくて聴きなおす気がしない。
第2楽章:第2番と違って普通に第2楽章に緩叙楽章が置かれている。ちょっと悲しげな表情でほほ笑む女性像みたいなチャーミングな楽章なのかもしれないけど、急に深刻ぶったり(曲の構成もおかしい?)、これまた悪の3拍子で、上から灰色の絵具が塗りこまれているようでいただけない。
第3楽章:スケルツオ。というだけで私にとってはつまらない。
第4楽章:ユーモラスな感じの楽章で、悪くはない。けど良くもない。これは悪の3拍子以前の問題であまり私の好みの曲ではない。19世紀というより18世紀の音楽で、これをやるのにこのオーケストレーションではハッキリ言ってダサい。
ということで、第2番よりさらにお勧めできませんな。

パリー交響曲第4番

オーケストレーション・録音・演奏に問題があるのは、他と同じ。
第1楽章:劇的でかっこいい!序奏。悲劇的な基調で荒れ狂うオーケストラ。ああ、いい録音で聴きたい。
第2楽章:広々とした弦楽中心のアダージョ楽章。すごく良くはないけど、かなりいい線いっている。
第3楽章:スケルツオ楽章。一転して楽しげ。繰り返しになるけど私はスケルツオ嫌いなんで無視。
第4楽章:そして明るく朗々とした楽想で締めくくられる。この楽章も中々かっこいい!

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私的にはパリーの交響曲の最高傑作がこの4番ではないかと。ブラームスとかと比べても遜色ない。本当になかなかいいんだよ。
全集の5番は、以前取り上げた「パリー交響曲第5番他」に収録されているものと同じ演奏・録音なので、それについて書くのは割愛。

で、実に残念な結論となってしまいましたが、この交響曲全集の購入は強くお勧めできません。ともかく録音・演奏に問題がありすぎる(録音・演奏だけの問題なのかもしれないけど)。他の演奏がないのが本当に口惜しい。個人的意見として、別な優れた演奏者で、いい音で、4番と5番がカップリングで入っているのが単発で売っていれば万人にお勧めするのに、実に残念。
ということでこの全集でパリーの交響曲の星をつけると、
第1番☆☆☆☆☆
第2番★★☆☆☆
第3番★★☆☆☆
第4番★★★★☆
第5番★★★★☆
てな感じです。4番や5番が星5つにならないのは録音のせい(もしくはホントはパリーのオーケストレーションが悪いのかもしれないけど)。
NAXOSあたりで、誰かほかの才能ある指揮者がいい録音で演奏してくんないかな、というのが正直な感想。