ハトコのたわ言

趣味に生きる隠居のたわ言集です

023 アッテルベリ 交響曲第7番&8番

Atterberg 7&8

アッテルベリ 交響曲第7番&第8番
cpo999 641-2 アリ・ライシネン指揮 シュトットガルト放送交響楽団
久々に本題の「無名名曲アルバム」。文章自体はお正月に書いていたんだけど、鬱の調子が徐々によくなりつつあるので今日アップしたというわけ(これ、前にも書いたか)。

交響曲第7番は「Sinfonia Romantica」という副題付き。まあ交響曲第7番「ロマンティック」と思えば間違いないでしょう。
アッテルベリの交響曲の大半と同じく3楽章形式。

第1楽章はマーラーの5番を思わせるような、トランペットの3連符の行進曲風の序奏から始まる。力強い広々としたテーマが金管を中心に展開されてゆく勇壮な楽章。序奏と主題が合わさって演奏されるコーダー。格好いい!
第2楽章はオーボエで奏でられる寂しげなテーマから始まる緩楽章。う~ん、アッテルベリは緩楽章が弱い場合があるんだよね。7番のこの楽章はあまり魅力的じゃない。
第3楽章はちょっとユーモラスなロンド形式っぽい(私のこういう分析はあてにならないので信じないように)五目味の楽章。珍しくラテンっぽいリズムが出てきたりして、初期の交響曲は堂々と終わっていたのに、なんか残念。

全体的には、第1楽章に比べて第3楽章が軽いから、ちょっと尻すぼみっぽい感じかな。

交響曲第8番はアッテルベリの、「通常」の交響曲としては最後の作品。久しぶりの4楽章形式の曲。
第1楽章は、ちょっと重々しく始まるんだけどすぐに第1主題が軽快に変わって、その後に提示される第2主題も気持ちいい。素直な素朴な手触りのする楽章。
第2楽章は、第1楽章の第1主題の発展型をテーマにした緩楽章。もしかしたら変奏曲形式なのかもしれないけど、私ごときではわからん。いずれにせよ、この緩楽章もあまり魅力的じゃない。なんでなんだろう。
第3楽章がめずらしく存在。スケルツオじゃなくて、スウェーデンの民族舞曲なのかもしれない。まあどうでも良い感じ。
第4楽章は久しぶりのアッテルベリの終楽章という感じで、でも素朴さが派手さの中に同居しているのは後期アッテルベリの感じがする。第1楽章のテーマも戻ってくるし、モーツアルトのジュピターの第4楽章を思い出すような対位法的な音型とかが出てきたり、なぜか第7番の第1楽章の頭の3連符のテーマが引用されたりして、非常に盛り上がる。これぞアッテルベリの普通の交響曲の最後を飾るにふさわしいフィナーレといったところか。

全体的には、最初の3曲(第1番~3番)に近いけど、素朴さがかなり混じっている感じ。そう考えると最初の3曲はそれなりに洗練されていた、というか余計なことを考えていなかったってことなのかな。

 

まあ、これでアッテルベリの通常の交響曲は全部紹介したことになります。

第9番というのがあるのですが、これは声楽付きで(シェーンベルクの「グレの歌」風)毛並みが全然違うので(いずれ取り上げると思いますが)、とりあえず1~8番まで私なりに総括すると、

 第1番・・・★★★★★
 第2番・・・★★★★★
 第3番「西海岸の風景」・・・★★★★★
 第4番「小交響曲」・・・★★★☆☆
 第5番「葬送交響曲」・・・★★★★☆
 第6番・・・★★★☆☆
 第7番「シンフォニア・ロマンティカ」・・・★★★★☆
 第8番・・・★★★★★

初期の3曲は問題なしに良くて非常におすすめ。これぞ無名名曲の見本。8番がそれに続く感じ。7番も中々に良いので7&8番のこのアルバムも1~3番が気に入った人にはお勧めします。