ハトコのたわ言

趣味に生きる隠居のたわ言集です

022 アッテルベリ 交響曲第3番&6番

あけましておめでとうございます。ことしもこの「無名名曲アルバム」よろしくお願いいたします。っていっても今日は1月は9日。もう正月気分じゃないか。

 

で、実に久々の本題、「無名名曲」シリーズ。まあ、年明けくらいは本題で行かないと。
この1枚は、ずっと書くのを用意していたんだけど、いつもながらでキチンと聴いてから書くことの面倒くささで延び延びにしてしまっておりました。お正月で生家(といっても西東京市だからバイクで40分くらい)に帰って、観たいテレビもないし(本当はあるけど、生家のテレビは衛星もスカパーも入らないから観れない)、かと言ってすぐに帰っちゃうと親不孝者扱いされるし、で、結局暇を持て余したので、以前からきちっと書きたかった「暁期ロマン派」の代表的な作曲家(勝手に私がそう呼んでいるだけ)、大好きなアッテルベリの、まだこのブログに書いていない残りの全交響曲についてまとめて書いたわけです。実際にブログにアップするのは休み休みになりますが、実際に書いているのはお正月です。まあ、今後の更新にこうご期待。

 アッテルベリ交響曲第3番&6番

アッテルベリ 交響曲第3番&第6番

cpo999 640-2 アリ・ライシネン指揮 ハノーバー放送フィルハーモニー

で、まずは交響曲第3番&第6番が収録されているこの1枚。たぶん私が初めて買ったアッテルベリの1枚だと思う。まだ、池袋の丸井の地下一階がヴァージンメガストアで、クラッシックコーナーの手書きのPOPが充実していた頃に買ったから、もう5年くらい前になるかもしれない。その後、新宿のヴァージンメガストアもなくなっちゃったし、ヴァージンは日本撤退してしまったのだろうか。ともかくこの「無名名曲」に目覚めるきっかけは間違えなくあの手書きのPOPだったから実に残念。まあ、あの手書きのPOPにはずいぶん騙されもしましたが(聴いてみたらたいしたことなかったのも結構あった)。ちなみにこの池袋のヴァージンメガストアについてはあの石田衣良池袋ウエストゲートパーク」(私にとってはまさに「オラが街」の物語)の原作にも出ていた(主人公がクラッシックに目覚めたのもこの売り場の店員に教えてもらったからという設定だし、その後、広いクラッシック売り場がなくなってしまったこともフォローされていた、一部では有名な売り場だったんだんだけどね)。

閑話休題
交響曲第3番は「西海岸の風景」という副題付き。
 第1楽章は「太陽の霞」
 第2楽章は「嵐」
 第3楽章は「夏の夜」と、それぞれの楽章にも副題がついている。

第1楽章は朝靄の中から静かに曲全体を通したテーマになる5音(F♯EDEF♯)を含んだ主題が出て、徐々に盛り上がってゆく。で、静かになったところで、明るめの第2主題。気持ちがよい。で、第一主題が戻ってあっさり終わる。全体の序章という感じ。
第2楽章は「嵐」っていうくらいだから激しく始まるんだけど、一方向的に(ベクトル的)盛り上がってゆくんじゃなくて、いろいろな断片が次々現れてゆく。
第3楽章の出だしは第1楽章の印象的な5音の序奏から、情熱的?な、これぞアッテルベリっていうテーマが出てきて、また一度静かになる。ちなみに実は私はこの文章を書くために聞き直すまで、この曲、4楽章形式で、このクワイエットな部分までが緩楽章で、その後(8分48秒)から第4楽章になるんだとばっかり思っておりました。で、9分くらいから徐々に同じベクトルで盛り上がってゆく、実にアッテルベリのクライマックス。まさに私の唱える概念「暁期ロマン派」らしい、「前衛」とか「実験」とかの要素が全然ない、実に堂々とした正統的な音楽。一度聴いてごらんよ、絶対好きになるから!

全体的には、アッテルベリらしい派手目のオーケストレーションと叙情性という、普通、矛盾しそうな二面性がきっちりと統一されて、実にすばらしい一曲。ちなみに「西海岸の風景」っていう副題は全然意識する必要はないでしょう。ちなみに私にとっては第2番の次に好きな曲。

交響曲第6番
俗称「1万ドル交響曲」なのは、シューベルトの没後だか生誕だかの周年事業として(紆余曲折があったらしいけど)1万ドルの賞金で交響曲のコンテストがあって、それで見事第1等に輝いたからなんだそうな。ということで、アッテルベリの生前、演奏される機会が多かったらしい。まあ、古くさいとかの「前衛音楽」側からのやっかみも相当あったんじゃないかな。ちなみに3楽章形式の曲だけど各楽章はほとんど連続して演奏されている。

第1楽章は、序奏なしに割に軽めの主題が最初から出てくる、「らしくない」出だし。徐々に盛り上がりはする。ちょっとユーモアっぽいところもあって、楽しめるけど、「アッテルベリらしさ」を求めると、ちょっぴり残念。
第2楽章はうってかわって、ちょっと暗めの静かな出だしで、叙情的なメロディが綴られてゆく。そう、アッテルベリってアダージョの楽章の印象が弱い、っていうか、アダージョで始まっても暁期ロマン派らしく盛り上げ過ぎてアダージョのイメージがなくなったり、メロディの魅力に欠けたりして。大メジャーにならないのはそのせいか?この楽章も最後の方はきっちり盛り上げてくれるんだけど、メインのメロディに親しみを感じないんだよね。そこが非常に残念。
第3楽章は、軽めの、ディベルティメントみたいな終曲。楽しくはあります。終わり方は実に派手だけど。

全体的には、ちょっと軽めの味付け(オーケストレーションも、メロディの粘りも)で最初の3曲(第1番~3番)が好きな人間としては、ちょっと物足りないかな、という出来。よくこれでコンテスト1位がとれたもんだ。ちょっと息抜きの感じがする一曲。

 

まあ、CDとしては3番が聴けるので、間違いなくお買い得な一枚。