ハトコのたわ言

趣味に生きる隠居のたわ言集です

020 アルウィン 交響曲 全曲

アルウィン交響曲第1番&3番 アルウィン交響曲第2番他 アルウィン交響曲第5番&2番

アルウィン 交響曲全曲(1、3/2、5/4)

第1・2・3・5番=NAXOS盤<デーヴィット・ロイド=ジョーンズ/ロイヤル・リヴァプールpho.>

第4番=CHANDOS盤<リチャード・ハイコックス/ロンドンso.>

 
ちょっと前に、アルウィンの作曲した交響曲の全曲(1~5)に対して書く、とか言っていながら全然書いてなかったネタ。書く前に何度も彼の交響曲を聴いたんだけど、どうも考えがまとまらなくて。

20世紀に活躍?した作曲家としては、逆にオーソドックスではない=ある程度ちゃんとメロディがあり、実験的な部分が少ないので、そこはなかなかにいい。でも、人の心を引きずり回すようなパッションが不十分な時がある。それは、ラフマニノフのピアノコンチェルトみたいな自己陶酔の音楽、という意味(ばかりを)ではなく、純粋な音楽の力という意味で。つまり、まあ簡単にいってしまえばメロディも含めてグッと来ない場合が多いんだよね。無理矢理、有無をも言わせず聴いている人間を引き込むような魅力。

まあ、1曲1曲違う側面もあるので、曲ごとの印象を


第1番は4楽章形式のオーソドックス(緩楽章とスケルツオの順が逆なだけで、それもありがち)なものだけど、4楽章の統一感が感じられない。いわゆる「名曲」は、別に循環形式でなくたって、4楽章を通して言いたいことがはっきりしているけど、この曲は管弦楽法も、雰囲気もバラバラ。各楽章単独で言えば第4楽章くらいが及第点。そこは結構盛り上がるしスケール感もある。

 

第2番は2楽章形式で27分くらいの曲なんだけど、これもひとつの曲として、とらえ所がないというか、曲としての全体の構成が聴きながら道筋がたどれない。まあ自分の鑑賞力が足りない可能性もあるけど。で、特に第1楽章がそんな感じでグッと来ない。第2楽章は後半、約7分ごろから激しくてちょっと格好良い気味のコーダーになって、これでキメてくれる、と思うと11分くらいから後はアダージョで寂しく曲は終わって行く。なんじゃい、これは。作者の意図が分からない

 

第3番は3楽章形式、第2楽章はスケルツオ楽章と緩楽章を合体させたような感じ。
やっぱり部分的にだけどかなり格好いいけど、「曲の全体像」と「今、そのどの辺を聴いているのか」、全然予感させてくれない。そう言う意味で言えば第3楽章は激しい疾風怒濤のただ中から天上のクワイエットな音楽へ昇天してゆくようでちょっと聴かせてくれる。曲のホントのエンディングは格好悪いけど(もう少しなんとかならなかったのかな)

 

第4番は3楽章形式。アルウィン交響曲の中でも一番曲のまとまりが良いかもしれない。スケールもデカいし、なかなかよろしい第1楽章。スケルツオ?みたいで、面白い第2楽章(トリオに当たる部分がなぜか寂しげだけど)。第3楽章は、アダージョの序奏のから右肩上がりでクライマックスへ、すばらしい盛り上がり。序奏の回想を挟んでまた盛り上がる。なかなか聴きごたえあり。

第5番は一楽章形式で14分半と短い。交響曲と呼べるのかどうか。ちょっと現代音楽風(褒め言葉じゃなく)な響きがあちこちにフリカケられているし、鐘の音の後に静かに曲がとじられるところなんて(曲調でなく、発想が)「はげ山の一夜」みたい。

 

 ということで総合的な判断は、

 第1番  ★★★☆☆

 第2番  ★★★☆☆

 第3番  ★★★★☆

 第4番  ★★★★★

 第5番  ★★☆☆☆

 ちょっと甘気味だけど、もうちょっと聴きこみが足りないかもしれないので。