昨日、立川シネマシティにて『君たちはどう生きるか』を観た。
素晴らしいアニメーション作品だったし、エンタテインメントとしても楽しめる、質の高い作品というのが正直な感想。
現時点(07/19 21:00時点)で映画.com採点が3.5なんて信じられない。これ以上デキの良い作品はほとんど見当たらない類いの希有な映画だと、率直に私は思う(ちなみに「しょうもない」と私が思った『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』が3.9だって。こういうのの採点って何が価値基準なのか不思議)。
主人公の男の子が自分の心情を饒舌に語ったりしないので、とっつきにくい感じはあるけど、それはダサい感じにならない「ほどよい距離」を観客との間に作っているし、いろいろ自分で解釈する楽しみもある。
今までのジブリ作品と異なり、基本的に事前に宣伝広告をしないで公開されたので、こちらもあえて情報を入れないで観に行った。YouTubeでは先週末の公開以降、早速、相当数の解説動画?が出回っていて、それらのタイトルすら見ないようにするのは大変だったが。
で、答え合わせではないけど、観終わった後に確認したいことが多々あったので、映画パンフレットを買おうと思ったら・・・昨日時点では映画パンフが売っていなかった!どういうこと?
そこが最大の不満点かも。
ちなみに15:25開始の回で観たが、映画館は老若(時間帯的に子供はいなかったが)いろいろな層の観客でほぼ満員だった。表面的な批評をする人間は多いんだろうけど、ちゃんとお客はついてきていた。
以下多少ネタバレあり。
正直に言えば、事前情報を出さないことに映画を観る上での意味が特にあるとは思わなかった。事前にどんな映画かある程度知らされても、興ざめするような内容ではない。広告宣伝費をかけないぶん、収益が良くなるのかもしれないが。
映画から感じ取れるメッセージ、完璧な夢の世界の中で生きるより、戦争で死ぬような不完全で悲惨ではあるけどそういう現実の世界で生きるべきである、というものには素直にうなずけた。昨今、夢の世界の住人が外に出てきて『自分の思うとおりじゃない』からと言って自己中心的な犯罪を起こしてゆくのに辟易としているからかもしれないが。
ともかく普通に、素直に観れば凄く良い映画。そりゃ宮崎駿初期の冒険活劇を望んでいたらテーストは違うが、ファンタジーとしてちゃんとした世界観もあればそれを描き切るためのイメージも多彩で豊富にある。
大叔父が作った夢の世界なのに、その世界の中でも大叔父の意図とは独立して鳥たちが進化論的な変化をしている所とか、宮崎駿の描く世界はかわいい外見をしているのに妙にリアルだったりしてちょっと怖いし。
何で夢の世界の主な登場者が鳥なのか、というのは『産女、姑獲鳥(うぶめ)』からの連想なのか、とか、舞台になっている土地はどこをモデルにしているのか、建物は何を参照にしているのかなど、興味は尽きないけど、まあパンフもないので今は確認のしようもない。
まあとりあえず観た、ということで自分の中では情報解禁。
岡田斗司夫さんの解説動画でも観て、他人の評価も味わってみましょう。