ハトコのたわ言

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<推薦外> ニールセン 交響曲全集

ニールセン交響曲全集

ニールセン 交響曲全集 第1番~第6番

ブロムシュテットサンフランシスコ交響楽団

 

ニールセンははたして無名なのか?という疑問もあるでしょう。交響曲第4番「不滅」は、標題がよかったのも含めて、それなりに有名だと思います。私も高校生(いまから約30年前だ!)くらいで知ってましたから。

で、なんでこの「無名名曲」ブログに書くのか、というとその「不滅」これ以外、聴いたことなかったから。全部で6曲も書いていながら、これだけが際だっていて、「一発屋」(いわゆる「One Hit Wonder」)っぽい感じがしたので。で、以前から持っていただけのこの全集をこの際、全部聴き直してみました。

このBlogの趣旨は「一発屋」(1曲しか知られていない)けど実は他作品でもいい曲がある、というのも守備範囲だと考えているので。

 

で、結論を先に言ってしまうと、限りなく、「一発屋」に近かかったです。それ以外の6曲の内、第3番と第5番がやや聴く価値があるかもしれませんが、それも、時間と暇が限りなくあって、他の曲はすべて聞き飽きた、という場合のみ聴けばいい、という程度のものでした。では各論に入りましょう。


第1番の第1楽章はまさにブラームス。ニールセンが若いときに書いたんだからだろうけど、まあ影響を受けた、というより「二流のブラームス」のような感じ。まあだから少しは楽しめて聴ける。第2・3楽章は面白くも何ともなく、メロディが全く頭にも心にも残らない。第4楽章は、ライナーノツには書いてないけど、金管の使い方にブルックナーを感じる。まあ、悪くないけど、良くもないという、こういう無名非名曲におきまりのパターン。


第2番の第1楽章は、まあまあ格好いい部分もある、あるんだけどダルイ部分もある。またもや無名非名曲におきまりのパターン。第2楽章も、悪くないけど良くもない。緩徐楽章の第3楽章はそんなにヒドクはないけど、メロディが今ひとつ。フィナーレのロンド形式で書かれた第4楽章も「悪くないけど、良くもない」というおきまりのパターン。

 

第3番「ひろがりの交響曲、このタイトルの日本語訳なんとかならないのかな?どこがどう広がっているかさっぱり分からない。デンマーク語なんて知らないので自分で勝手になんとかなりそうな日本語タイトルを付けられないし。「不滅」みたいな堂々とした名曲っぽいタイトルが付いていればもう少し人気がでたのかもしれない。

で実際の内容は、、第1楽章は結構珍しい?3拍子系。何回も書くのはなんだけど、「割に格好いいけど、メロディが残らない」。第2楽章はどうでもいい楽章。緩徐楽章なのにメロディーが心に引っかからないようじゃダメでしょ、やっぱり。途中で男声と女声の「ヴォカリーズ」(歌詞のない唄)が入っているけど肝心のメロディが・・・コンサートホールで聴いていたら退屈で死にそうになるかもしれない。スケルツオ風の第3楽章もどうでもいい楽章。第4楽章で、やっとエルガーばりのいいメロディが出てくるけど、メロディの後半がいかにも対位法的展開がしやすいよう書かれている、と思って聴いていると、やっぱり展開部ではそうなっているんだな、これが。第1楽章のメロディが回帰したりしてちょっと感動的なんだけどね~。交響曲第1番&2番よりいいけど、名曲とは言い難い。

 

第4番「不滅」はニールセンの交響曲ではやはりベストか?結局、ニールセンはほぼ一発屋(ただし交響曲しか聴いたことないので限定付きだけど)。

ちなみに全楽章は続けて演奏されるスタイル。管弦楽法ワーグナーブルックナー風になってきているのは、私としては嬉しい。

第1楽章の、途中ではっきりと現れる金管群のファンファーレ風のテーマはやっぱり格好いい。対照的に静かな部分はわざとらしくて好きになれないけど。第2楽章はどうでもいい楽章。メロディーが心に引っかからないのは他の作品と一緒。第3楽章は緊迫感に溢れた出だし、結構美しい室内楽風に始まる中間部分、第4楽章へのブリッジとなる激しい終わりの部分で、結構よい。

で、第4楽章。これはすごくいい。まず第4楽章のメインテーマがかなり良い。で、そこから展開していって、ちょっと中だるみした後、ティンパニーの乱打(まさに乱れ打ち)から緊張感が高まり、そして第1楽章のメロディが回帰されて戻ってくる。
「不滅」という標題が良くて残っているだけじゃなかった、ということに納得。

 

第5番もかなりの力作だとは思うけど、第4番「不滅」ほどは楽しめない。2楽章形式で、それぞれ2部分と4部分に分かれているらしい。第1楽章-1部は、静かに始まるが、途中から緊迫感あふれる行進曲風に変わる。メロディは今一。第1楽章-2部は、ニールセンでは初めて聴く、豊かで、どことなく懐かしげなメロディと弦楽中心のアンサンブルが堂々と盛り上がってゆくなかなか良い部分。第2楽章全体はちょっとバルトーク的(どことなく「弦チェレ」を思い起こす。木管金管が入ってくると当然違う響きになるけど)。


第6番「素朴な交響曲これも他に訳し方はなかったの?と疑問を呈しておきましょう。まあ、曲ももう一度聴き直そうとは思えないだろうね。なぜなら魅力に欠けるから。音楽的な手法が中途半端だから(そうなるとバルトーク風になるんだよな~)。あくまでも推測だけど、作曲家本人としては大胆に書いているのかもしれない。けど、聴く方はうんざり。こういう「新しい音楽を勉強してみました音楽」は。

 

 ということで、まとめてみると

 第1番・・・・・・・・・・・・★☆☆☆☆

 第2番・・・・・・・・・・・・★☆☆☆☆

 第3番「ひろがりの交響曲」・・★★★☆☆

 第4番「不滅」・・・・・・・・★★★★☆

 第5番・・・・・・・・・・・・★★★☆☆

 第6番「素朴な交響曲」・・・・★☆☆☆☆

 第4番でも星5つでないのは、感動できない部分(特に第2楽章)があるから。まあ、いつも書くいいわけだけど、「あくまでも私の私見」です。ということで、ニールセンの交響曲の中に、本来このBlogの趣旨である「無名名曲」はなかった、という残念な結果となりました(「不滅」は有名名曲なので)。

 

しかし6曲もまとめてちゃんと聴くのは疲れるし、コメント考えるのもシンドイので、今後はなるべく1枚ずつ書いて行きましょう。まあ、行き当たりばったりで書いているからそういうことになるんだけど。