ハトコのたわ言

趣味に生きる隠居のたわ言集です

025 バーバー 管弦楽作品集 第1集 交響曲第1&2番

バーバー 第1集

実に久々(一年ぶり以上)に、このブログの趣旨「無名名曲アルバム」であるところの「有名指揮者や楽団がレパートリーとしてほとんど取り上げない、19世紀から20世紀にかけてのメロディーがあるオーケストラ音楽」について今日は書きます。

「暁期ロマン派」(2006年12月4日のブログ参照)の代表的な?作曲家、アメリカはサミュエル・バーバーの作品群について、その第1回目は、NAXOS-8.559024「バーバー 管弦楽作品集 第1集 交響曲第1&2番」を取り上げることにしましょう。ちなみにこのNAXOS盤の「管弦楽作品集」は第6集まででているんで、何回かに分けてぼちぼち書いて行くことにします。

ちなみにサミュエル・バーバー(1910-1981)といえば「弦楽のためのアダージョ」だけが突出して有名(かつ超名曲)で、映画音楽にも何回も使われているし(例えば「プラトーン」とか)、アメリカで有名人が死ぬと必ずかかるという20世紀に作曲されたクラッシク系の音楽の中で、最もポピュラーと言えましょう。が、他の作品は全くと言って良いほど知られてないので、まさに「無名名曲」の対象でしょう。
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交響曲第1番 Op.6】

第1楽章は途中ダルイところがあるけど、激しく、そして緊張感が溢れていて中々に良い。

続けて演奏される第2楽章は1楽章に続きAllegroという意表をついた構成(普通緩楽章がくるでしょう、3楽章形式だったら)。短い、ちょっと滑稽な動機が綴れ織られて、ちょっとそこが歯がゆいというかヌルイ。が後半にはちょっと派手になって盛り返す感じ。

第3楽章(最終楽章)はAndanteという構成。オーボエが歌ってゆったり始まり、徐々に盛り上がってゆく前半は何度聴いてもカッコいいし心を打つ(5’10”まで)。中間部分がちょっとダルイけど、エンディングは悲劇的な盛り上がりをみせる。この「悲劇的」ってところがミソで、やっぱり楽章前半のイメージから行くと「歓喜」で締めてもらいたかったな、というところが正直な印象。全体で21'06”という短い交響曲だけど名曲に限りなく近い、佳曲と言えましょう。繰り返すけどエンディングの印象が良くないんだよね。


交響曲第2番 Op.19】

第1楽章は正直、面白くない。起伏に富んでいて構成とか凝ってるんだけど、メロディに残るモノがない。

第2楽章も面白くない。基本的にクワイエットな音楽だけど、癒し系でもないし印象に残らん。

第3楽章はちょっとバルトークっぽい(20世紀の余り実験的でない作曲家にありがちなタイプで、概して本家以外はつまらない。激しいんだけどクールすぎるんだよな。熱狂的にならないのが難点)感じもあるけど、中々に盛り上がるしちょっとカッコいい。ということで交響曲第2番は全体では佳曲にちょっと届かない、というのが私の評価。
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併せて収録されている2曲はそんなに悪くはないんだけど、まあ「この曲を聴きたい」ってこのCDをセットすることはないだろう。


【序曲 悪口学校 Op.5】

新古典派っぽい感じで、部分的に良いところもあるけど、決め手に欠ける。

管弦楽のためのエッセー 第1番 Op.12】

出だしは静謐な悲しみに満ちあふれた(まさに「弦楽のためのアダージョ」を書いた作曲家らしい)良い曲なんだけど、4'34"から軽快なリズムに変わって、そこからがつまんなくなる、非常に不思議な曲。終わり方も変だし。なんで前半の曲のイメージのままで通さなかったんだろう。
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 ということでこのCD、難点はあるものの、ナクソス価格でもあるし、普通のクラッシックのレパートリーに飽きた人には結構お勧めできる1枚。