さてNAXOSのマルトゥッチの管弦楽作品全集第3集(NAXOS 8.570931)
マルトゥッチ:管弦楽作品全集 第3集 追憶の歌/ピアノ協奏曲 第1番
ピアノ協奏曲第1番は、23歳の時の作品(まあ、何歳の時に書いたからって作品のクオリティだけが問題なんだけどね)。
第1楽章は長い管弦楽の序奏から、ガツッンとピアノが入ってくる。で、途中でピアノで甘~い旋律が奏でられたりして、もろロマン派のピアノコンチェルトの王道って感じ。
第2楽章のアンダンテも絵に描いたようなピアノコンチェルトの緩徐楽章。ピアノの分散和音にオケが乗っかってゆくところなんてもう笑っちゃうくらい。で、ピアニスティックでかつ管弦楽法も格好いい第3楽章。
しかし、曲はニ短調とあるんだけど、いいな~と思う部分は、ほとんど長調で書かれていて、主調の考え方がおかしい曲でもある。というか、なんで短調で終わらす!
精神的な深みとか、厳しさとかそういったものはないけど、嫌みのない曲なので、これはこれで楽しめます。
併録の「追憶の歌」 (1887年ピアノ伴奏版作曲/オーケストラ伴奏版は1898年)は実に私好み。(もちろん激しい部分もあるんだけど)穏やかなオケに女声(メゾ・ソプラノ)が乗る、この音色の良さはマーラーやR.シュトラウスが証明しているように、それだけで実に良いんだよね。全7曲。
どこか懐かしげな感情に満ちあふれていて、本当に気持ちが良くなる。ドラマッティックではないんだけど、各曲の作りはメリハリがきちんと計算されているから34分弱、聴いていて飽きが来ない。
しかし、NAXOS、歌詞の英語訳くらい付けといてくれ(原詞すらついていない)。
ということで、このアルバムもまずまずお薦めですね。
<追記 2020.1.14>
この文を書いたのは2010/1/14だったんだけど、その年、2010年10月からのTBSドラマ「SPEC」で、この「追憶の歌」が、まさにこのアルバムから使われていたようです。自分の先見の明?とともにドラマの音楽を選定する人はここまで聞いているんだと、ちょっと感動したりしました。